V字カッターの製作(1) 2007.03.14(水)〜 /
著作者名: 中野 良知 作成開始: 2007.03.02(金) 更新 : 2007.03.03(土) カッター先端形状の項目を追加。 : 2007.03.13(火) 冶具及びカッターの項目を追加。 : 2007.03.14(水) カッターの材質の項目を追加。 : 2009.06.11(木) カッター(2)の紹介を追加。
カッター(U)の紹介 V字カッターの製作(2)を作成しました。 形状の検討、製作手順、研削機、切削のシミュレーションなどを掲載しています。 切り込み量を深くしても切削幅が狭い為、ピン間2本のパターン切削に適しています。
概要 「CNCの実験」で製作した基板用V字カッターの製作資料です。 切削径は約0.2mmで、切り込み量は60μから70μで使用するカッターです。 目次 1. カッター先端形状 2. カッター製作冶具 2.1. 冶具の図面 2.2. 冶具の製作 3. カッター 3.1. 切り刃の形状 3.2. カッターの製作 3.3. 刃先断面 3.4. 逃げ代について 3.4.1. カッター移動方向 3.4.2. スピンドルの芯ぶれ 4. カッターの材質 4.1. 一般鉄工用ドリル 4.2. 超鋼エンドミル 5. 法律条項 1. カッター先端形状 Vの角度は60度です。 左:基板切削前の刃先形状 右:SLA7078MPR用基板を1枚切削した後の刃先 カッターの材質:超鋼 パターンを拡大 2. カッター製作冶具 冶具を用いてカッターを研削します。 2.1. 冶具の図面 材質: ツマミを真鍮、 ホルダーはアルミで製作しました。 2.2. 冶具の製作 1) ツマミが当る面を基準にします。 2) シャンクが貫通する穴を基準面と直角にします。 3) ツマミに90度、0度、-120度の目盛線をケガキます。 CADで90度、0度、-120度のツマミ半径の線を作図します。 印刷して円を切り抜き、ツマミの端面(シャンク側)に貼り付けます。 ツマミをフライス盤に固定し、チャックにケガキ針を取り付ます。 90度、0度、-120度の目盛線をツマミの周囲にケガキます。 ツマミとホルダーの目盛線を合わせます。 4) ツマミの固定用ビスはシャンク保護の為、真鍮製を使用しました。 ビス先端のメッキを削り落としています。 3. カッター 3.1. 切り刃の形状 円錐の直径0.2mm部分の断面図です @の点線は、円錐研削後で、逃げ代加工前の先端形状です。 Aの実線は、すくい面側から見た逃げ代研削後の先端形状です。 Bより先をパターン切削に使用します。 Cは(3)から銅箔の厚み分を切り込んだ時の深さです。 Dが切り刃です。 Eを設けると、切削した溝の底が平面になります。 3.2. カッターの製作 1) フライス盤のコレット又はドリルチャックに軸付砥石を取り付けます。 砥石は 円錐、逃げ代研削用:Φ50mm、粒度#400、ダイヤモンド電着、軸Φ6mm すくい面研削用 :Φ10mm、粒度#200、ダイヤモンドインターナル、軸Φ2.35m 回転数 :800rpm Z軸の送り量は0.01mm以下にします。 研削中の音が小さくなるまで同じ位置で研削し、研削音が小さくなったら次の研 削分を送ります。 *研削量を多くすると、刃先が欠けたり、研削時の熱で変質する事があります。 2) ホルダーを60度傾けてバイスに固定します。 3) ツマミを回し、60度の円錐状に先端を研削します。 カッターがガタツキなく回る様に、シャンクを六角ネジで強めに締めます。 一回のZの送り量(研削量)は0.01mm以下にします。 研削音が小さくなるまでZ位置を保ち、研削音が小さくなってからZを送ります。 砥石は、Φ50mm、粒度#400、ダイヤモンド電着、軸Φ6mmを使用しました。 4) ツマミの目盛の0度と-120度を往復して逃げ代を研削します。 研削音が小さくなるまでZ位置を保ち、研削音が小さくなってからZを送ります。 送り量(研削量)は0.01mm以下にします。 逃げ代は0.05mmまで研削します。 5) ツマミの目盛の90度でシャンクを固定し、ホルダーを直立に取り付けます。 6) 円錐の頂点まですくい面を研削します。 砥石は、Φ10mm、粒度#200、ダイヤモンドインターナル、軸Φ2.35mを使用。 6) すくい面は、研削後にダイヤモンド砥石で研磨します。 粒度は#600を使用。 切削したパターンのバリの発生を改善します。 7) 円錐の頂点に、ダイヤモンド砥石でほんの僅か逃げ角を設けます。 Eの部分です。 すくい面側から見て−10度くらい。 すくい面を左にして、10度くらいです。 3.3. 刃先断面 左から円錐の直径0.3mm、0.2mm、0.15mmの断面です。 0.05mmの逃げ代を設けることにより各断面の形状が変わります。 断面が0.15mmの場合、実際の切削径は0.1mmになります。 3.4. 逃げ代について カッターの移動と芯ぶれに対して逃げ代を設けます。 3.4.1. カッター移動方向 スピンドルの回転4,600rpmは、13.0msec/rev。 F70は、1.17mm/sec。 スピンドル1回転当りの移動量は、1.17mm/sec×13.0msec/rev=0.0152mm/rev。 カッターの移動方向に対する逃げ代は、0.0152mm以上は必要です。 3.4.2. スピンドルの芯ぶれ スピンドルの芯ぶれを考慮します。 今回は、逃げ代を0.05mmにしました。 No.16000フライス盤のZ軸送りの最小目盛が 0.1mmで、目分量でもその半分ならば逃げ代の再現性が期待できます。 0.05mm−0.0152mm=0.0348mmがカッター進行方向の芯ぶれ許容量になります。 スピンドルの芯ブレは、使用しているフライス盤が MIN 0.011 MAX 0.056 平均 0.034 この測定後に、スピンドルの軸受けベアリングを交換したことで、スピンドルのガタ ツキが無くなり、芯ぶれが改善されているものと思われます。 したがって、カッター進行方向の許容量 0.0348mm は実用的な値です。 カッター進行方向に対して左右の逃げ代も0.05mmで、余裕があります。 4. カッターの材質 ハイスと超鋼いついて切削テストを行いました。 4.1. ハイスドリル ハイスドリルをV字カッターに研削した刃先です。 BLモーター用サーボ信号発生回路基板を1枚切削した後の刃先です。 左肩の切り刃部分が、切り込み量の60μと同じくらいの段差状に磨耗しています。 基板切削中に切り刃の形状が変化するため、パターン切削には不向きです。 4.2. 超鋼エンドミル 超鋼エンドミルをV字カッターに研削した刃先です。 左:基板切削前の刃先形状 右:SLA7078MPR用基板を1枚切削した後の刃先です。 基板切削中に切り刃の形状が変化することが無く、更に繰り返しの使用に耐えられそ うです。 5. 法律条項 この資料により生じたいかなる障害や損害に対し、著者は全てを免責されるものとします。 この資料は、著作権法の下で保護され、入手先、著者、日付、法律条項を含んだ場合にのみ複製が可能です。 複製をする場合は著者まで連絡をお願いします。
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